親になる前に 〜児童虐待の要因と解決策について

はじめに2

母との思い出・・・というか苦い思い出

プロフィール紹介の続きのようなものになりますが、児童虐待と私との関わりについて、書きたいと思います。
まず、私が3歳か4歳くらいの頃だと思います。何かの悪さをして、母に両方の頬を“イーーーッ”っていう感じでつねられたのをよく覚えています。
なぜ、幼いのによく覚えているかというと、自分のしでかした悪さの大きさに比べお仕置きの方が大きく、また母親が何かでイライラしていて、自分がその“はけ口にされた”とその時感じたからだと思います。
22歳だったと思います。母のその当時のストレスや辛さも理解できる年齢になっていました。私が、両頬をつねられたことを母に話すと、『そんなことをした覚えはない。ないけど、したんやったら、ごめんやで・・・』と。その後、その当時の辛かった話を母から聞き、それまでの釈然としない思いが解消され、自分を冷静に振り返ることができるようになりました。

家庭科の授業で・・・

その後、大学を卒業し大阪府の家庭科の教諭として採用され(1985年)、その年は食物と保育を担当することになりました。
保育の授業では、なんせ、子育て経験もありませんし、実のところ、保育分野に関する大学の授業は発達心理だったか、何だったか記憶はあいまいですが、教職教養で1つか2つくらいしかありませんでした。ですから、前任者の残してくれた授業案を頼りに、自分でいろいろ勉強しながらプリントを作成し、教科書の解説をするしかないわけです。
そんなですから、自分自身のエピソードもいろいろ話す羽目になってしまいます。
そこで、ダメな例として、『親のイライラのはけ口に子どもに当たってはいけない』『子どもはどんなに小さくても、自分のしたことの大きさと、叱られた大きさの違いはわかるもの。やったことに対して叱られた度合の方が大きければ、理不尽に感じて、叱られたことを受け入れられない。』などと経験を生かし、話していました。
その頃、世間では、まだ“児童虐待”という単語は流通していませんでした。虐待事件も新聞ではせっかん死、とか体罰と表現していました。
また、新任教員として、いろいろ勉強する中でトーマス・バーニー著の『胎児は見ている』という本に出合いました。この本には『妊娠中の母親が、胎児に対して、こんな子いらないと思って産み育てると、将来、重篤な犯罪を犯す可能性が高くなる・・・』等の衝撃的な内容でした。胎児の話なので、事実証明が困難なことで話半分という感じですが、“こんな子いらない”という状態は、当然、虐待に繋がるはずで、望まないのに産むことの罪をこの本で学びました。

図書“親になるほど難しいことはない”との出会い

そういった、授業を数年続けていましたところ、『親になるほど難しいことはない』(椎名篤子著1993講談社発行)という本を見つけました。読み進むうち、これは是非授業で取り入れようと思い立ちました。
継父から性的虐待を受ける少女、同棲相手の暴力から我が子を守れない母、兄弟の中で自分だけ母から愛されず施設で暮らす少年、の3つのエピソードを選び、B4のプリント12枚もの量になりましたが、大半の生徒たちは「将来、自分が親になった時に、良い親になるためにしっかりと読んでくださいね」というと、真剣に向き合ってくれました。
これが、私が虐待を予防するための教材として意識的に作った最初です。

その後・・・・

児童虐待を予防するための様々な教材を考えるのは良いのですが、中には虐待を受けて育ったという生徒もいます。そんな生徒に対して、こんな話をしてもいいのか、こんなプリントでいいのか、こんなビデオを見せて良いのか・・・という迷いが生じました。
もっと専門家の意見を聞きたいと思い始めた頃、大阪に児童虐待防止協会の研修があることを知り、そこで西澤 哲先生(現在、山梨県立大学教授)等の講演により、虐待の要因や被虐待児への対応策などを整理して考えることを知りました。図書も手当たり次第読みました。また、前任校では福祉コースがあり、福祉科の教員免許を取るための勉強の中で児童福祉も勉強しました。

それでも、なんだか、物足りない。自信がない・・・。大学院に行ってみたいけど、忙しいし、お金も・・・・と思っていた頃(2009年)、甲状腺ガンが見つかり、癌は1週間の入院だけで、きれいに直りましたが、オマケで保険金が入り、使い道はこれしかない!! と次の年から、通信教育の大学院へ進学することを決めました。

大学院では児童福祉について勉強できるゼミに入り、当然、児童虐待の予防に関することを論文で書けるもの、と思っていたら「児童虐待に関する調査の本当の結果は数年後から十数年後になるから、院の修士論文としては、突っ込みどころが多すぎることになるので、ストレートに虐待予防を打ち出すのは止めといたほうがいい」とアドバイスを先生からいただき、「男子高校生の将来の養育力を醸成する教育〜家庭科教材に親教育プログラム・虐待防止研究を応用して〜」という何だかよくわからないタイトルで提出しました。
この論文のために生徒に授業の効果についてアンケートを取り、児童養護施設職員や児童相談所相談員・保健所職員等にインタビューし、関連図書や論文を山のように読みました。
そして、やっと、これで何とか・・・という自信を持って、授業ができるようになりました。

また、昨年(2014年)は児童虐待防止学会という組織があるのですが、そこで発表し、そのご縁で、ここに書かせてもらっています。

以上が今に至る私と児童虐待との関わりです。

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