親になる前に 〜児童虐待の要因と解決策について

乳幼児とのふれ合い経験

親準備性の問題
乳幼児とのふれ合い経験

親準備性の問題には、別の項で述べた“できちゃった結婚”に代表される予想外の妊娠や、若年での妊娠、等も、いわば“心の準備”として含まれますが、ここでは、主に育児経験や知識の有無について書いていきたいと思います。

皆さんは(出産経験のある方は自分が出産するまでに、出産未経験の方は今現在までに)、首がまだ座らない赤ちゃんを抱っこしたことがありますか?
少子化の影響は次世代の子育てにも大きいことが、次に挙げることからもわかります。
原田氏は、育児体験の不足や子育てスキルに関する知識がないことが育児不安をもたらすと著書で述べています。さらに1980〜1991年と2003〜2006年に実施された母親対象の比較調査で“自分の子どもが生まれるまでに、他の小さい子に食べさせたり、おむつを替えたりした経験はあるか”は1980年では“なかった”が40.7%であるのに対し、2006年では54.5%と増加しており、ますます育児不安を抱える親(母親)が増加するであろうと危惧しています(原田2006年)。

また私が2006年に高校生約3000人に対して行った調査では、『3か月以下の赤ちゃんを抱っこしたことがない』男子生徒は59.3%、女子生徒は38.6%。『1歳以下のまだ歩かないくらいの赤ちゃんを抱っこしたことのない』男子生徒は50.5%、女子生徒は32.8%。その回答の中で『1〜2回は抱っこしたことがある』生徒もその時間は“5〜10分程度”が多数であり、さらに『何度も抱っこしたことがある』という生徒は弟妹の世話によるものが大半で、幼い年の離れた弟妹がいない場合、育児体験はごく限られた乏しい状態であることが明確になりました。
乳幼児と接したことのない者が親となったとき、想像した生活と現実の生活とのギャップについてベルスキー氏は著書で「竜巻をテレビで見ているのと、実際に自分の家の屋根が吹き飛ばされたほどの違い」という表現を紹介しています。それほどに、実際の乳幼児と触れ合う体験は重要であると言えるでしょう。

【参考資料】
原田正文「子育ての変貌と次世代育成―兵庫レポートにみる子育て現場と子ども虐待―」名古屋大学出版会2006
*原田正文氏の著書には「完璧志向がこどもをつぶす」ちくま新書2008 というものもありますので、是非、ご一読を。
Velskey.J「子どもを持つと夫婦に何が起こるか」草思社1995

▲ ページTOPへ