親になる前に 〜児童虐待の要因と解決策について

孤立感から虐待に向かってしまう要因

ダンナはいるけど、何もしてくれない。実家の親はいるけど、昔の子育ての方法を押し付けてくる。舅姑はいるけど、自分を批判するだけ、つまりは最初から誰もいないより、いるのに役に立たないばかりか、自分を傷つけてくるという・・・という方が、ひとりぼっちの孤立よりも、より孤立感を感じ、ストレスが大きく虐待のリスクが高まるようです。

深谷氏(2008)は、育児不安傾向の強い層では、母親だけが育児をしており、不安傾向の低い層では夫も育児に関与している。また、両親(子どもの祖父母)との距離では、母親の親との居住距離が近いほど、不安傾向の弱い母親が多くなると報告しています(深谷2008)。
ものすごく当たり前のことですが、調査研究として実証されていると、男子生徒に強く言えます。こういうデータではこう、このデータではこう、と。
川合氏も、育児不安の関連要因は夫婦関係の問題として“夫が精神的に私を支えてくれない”“夫は子どもに関心がない”などが不安を増大させると述べています(川合2006)。
また大日向氏(1999)は子育てにおける不満感は子育てそのものの大変さだけでなく、その苦労を理解しようとしない夫の態度によって増幅されている実態があると指摘しています(大日向1999)。
夫の妻に対する態度も見逃せないが、協力したくてもできない実態もあるのは事実です。川端氏・汐見氏は、父親の役割をしたくてもできない現実が、多くの父親にはあり、外から制約されていることもあれば、やり方がわからないと自分から制約している場合もあるということを指摘しています(川端ら2006)。父親やその予備軍に対する育児スキルの教育の重要性がこのことにより確認できます。
日本の父親が子育てを積極的にしたくてもできない事情を深谷氏の次の指摘が補足しています。子どもが生まれる前から積極的に育児をしたいと思ったかについては、21.7%が“とてもそう思った”、55.0%が“わりとそう思った”と7割が積極的に育児したいと考えていた。しかし日本の父親の家事育児時間は週あたりでは、アメリカの14時間28分、イギリスの14時間56分に対して、3時間40分で3分の1以下となっていますが、労働時間が2時間程度長く、これに通勤時間を含めると、さらに諸外国との差が開き、これが家事育児関与の促進を阻害している大きな要因であるといえる(深谷2008)と報告しています。
めちゃめちゃ、当たり前なデータですが、男子生徒への説得力にはなります。

【引用・参考文献】
大和礼子・斧出節子・木脇奈智子「男の育児・女の育児」昭和堂2008
大日向雅美「3歳児神話について考える」日本教材文化研究財団研究紀要.32.2002
川合 尚「家庭の養育力・父親の役割」母子保健情報54、2006
川端裕人、汐見稔幸「パパ権宣言!」大月書店2006
深谷昌志「育児不安の国際比較」学文社2008

孤立感から虐待に向かってしまう要因

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